労働審判は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が審理を行います。
委員会は調停をするように促しますが、調停で解決しない場合に審判が行われることとなるというものです。
労働審判は、裁判所が判断を行うものですから、欠席をすれば欠席審判を出されることとなってしまいますので、絶対に無視をしてはいけません。
また、労働審判に対して当事者から異議の申立てがされれば、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は訴訟に移行することになりますが、異議申立てがない場合には判決と同様に効力を有することになりますので、どのように対応をするかについては慎重に検討する必要があります。
労働審判の最大の特徴は、原則として3回以内の期日で終了するというところにあります。
短期間で判断がされるというのは迅速性という点ではメリットがありますが、これは裏を返せば、最初の第1回期日までに証拠等を揃えて主張をしなければならないということとなります。
第1回期日は申立てから30~40日程度で行われることが多く、企業側は通常申立てをされる側ということになりますから、準備のために許された期間は非常に短くなります。
もちろん、事前に労働者側から交渉あった場合には、ある程度の準備や対応がなされていると考えられますが、審判に当たっては、第1回期日でほぼ勝敗が決することになりますので、突然労働審判がされた場合には、すぐに弁護士に相談し、対応を行う必要があるといえるでしょう。
弁護士をつけずに労働審判をするケースもありますが、審判は通常訴訟に比べて労働者側は比較的費用を安く弁護士を依頼できるようになっているため、弁護士がついている場合が多いといえます。
第1回期日では、冒頭で双方の主張の骨格を述べる機会があり、アピールポイントを精査して弁護士は期日に臨みますので、弁護士に依頼し、効果的なアピールをしてもらい、可能な限り有利に審判を進めることが望ましいといえるでしょう。
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元従業員からの不当な「労働審判の提起」への対抗策
労働審判を提起するような従業員ですので、社内において数多くの不正や問題を起こしている可能性が高いです。
この機会に、社内におけるその従業員の問題を徹底的に洗い出しましょう。この過程で、その従業員による不正が発覚することも非常に多く、横領や背任が発覚した事例も多く存在しますし、それが労働審判や裁判において大きな役割を果たします。客観的な証拠や、関係者の陳述書などを集め、社内に残っている資料や記録は徹底的に調査します。
当事務所で対応した「元従業員から労働審判を提起された」事例において、社内調査の結果、従業員の巨額の不正が発覚したケースがほとんどです。
すなわち、元従業員から労働審判の提起を受けた場合、実際の対応やその場合どのような対応手法を採用すべきかについて、これらの諸般の事情を考慮して、検討してゆくことが重要です。
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