元従業員から不当解雇で訴えられた場合
従業員から不当解雇であるという主張がされるパターンは2つが考えられます。
1つは解雇無効の主張であり、もう1つは金銭賠償の主張です。
金銭賠償の場合は、賃金ではなく慰謝料名目での請求となり、慰謝料の場合は賃金よりも低くなる可能性があることになります。そのため、通常は、元従業員は職場に戻ることを希望していないにも係わらず、有利な解雇無効の主張をすることが大半といえます。
金銭賠償のみの場合には、訴訟ではなく労働審判という通常3回で終了する手続きが採られることが多いため、早期に解決するのに対して、解雇無効の場合は訴訟で争われることとなるため、長期にわたることになります。
解雇無効の主張がされた場合で、かつ解雇が無効であると認められた場合には、それまでの賃金を支払わなければなりませんので、訴訟が長引けば長引くほどその分の賃金を支払わなければならないということになります。
裁判所が不当解雇であり解雇無効と判断した場合には、元従業員を従業員に戻すことになる場合もありますが、元従業員がどうしてもその職場に復帰したいと望んでいることは多くないため、現実的には賠償金を増額し、職場に復帰することなくそのまま退職してもらうことを前提に和解することとなります。
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元従業員からの不当な「不当解雇の主張」への対抗策
不当解雇であるとの訴えがされた場合には、解雇が有効であることの立証をしていくことになります。
経営者が解雇したような従業員ですので、正当な解雇原因があるはずです。またそのような従業員ですので、経営者が気付いている問題点以外に、社内において数多くの不正や問題を起こしている可能性が高いです。
この機会に、社内におけるその従業員の問題を徹底的に洗い出しましょう。この過程で、その従業員による不正が発覚することも非常に多く、横領や背任が発覚した事例も多く存在しますし、それが後々の労働審判や裁判において大きな役割を果たします。客観的な証拠や、関係者の陳述書などを集め、社内に残っている資料や記録は徹底的に調査します。
当事務所で対応した「元従業員から不当解雇で訴えられた」事例において、社内調査の結果、従業員の巨額の不正が発覚したケースがほとんどです。そのような場合、ほとんどのケースで、不当解雇の訴えは却下され、むしろ元従業員に対して、巨額の損害賠償請求をすることとなります。
また相手方が保有していると思われる証拠で必要なものについては提出させるよう積極的に裁判所にも働きかけていく必要があります。
元従業員からの不当な「不当解雇の主張」を未然に予防するためには
まず、不当解雇であるといわれないために、就業規則をきちんと定め、解雇事由を多数明確に規定し、規則に従った処分をするとともに、解雇をする際には事後に問題とならないよう、労働者に対して十分な説明を行うなどして、慎重に対応する必要があります。
可能な限り、事後に問題とならないよう、解雇をする際に問題がないかという点について、解雇を行おうとする時点で弁護士に相談されることをお勧めいたします。そして、実際に解雇を行う場合には、証拠を押さえ、有無を言えない状況にしておくことが必要です。どのような証拠を押さえておくべきかは、解雇原因の正当性を主張できるに十分なものが必要ですので、専門家に問い合わせて頂けましたら幸いです。
すなわち、元従業員から不当解雇と主張された場合について、その実際の対応のみならずどのような対応手法を採用すべきかについて、これらの諸般の事情を考慮して決定することが重要となります。
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