元従業員等が営業秘密を侵害した場合

「会社の営業秘密が不正に持ち出されてしまった。」
「元従業員の退職者が競業会社を立ち上げたようだが自社のノウハウを持ち出した形跡が発見された。」
「競業他社が類似商品の発売を開始したが、元従業員がその競業他社に技術情報を持ち込んだようだ。」

営業秘密やノウハウについても、特許権、実用新案権、意匠権、商標権や著作権と並んで知的財産権として保護されております。
不正競争防止法という法律です。

不正競争防止法は、事業者の営業利益を保護するとともに、公正な競争秩序を維持するという目的で作られた法律であり、営業秘密の侵害のほかにも、知的財産権を保護するために、さまざまな行為を規制しています。

有名な商品と似た名称で商品を販売する行為、著名なブランド名を自社の商品につける行為、コピー商品の販売をする行為、コピーガード商品のコピーを解除する装置の販売等、著名な企業のドメイン名をサイトのドメインに組み込む行為、原産地を偽った商品を販売する行為、競合他社が特許権利侵害をしていると取引先に通告する行為、代理人が正当な理由なく本人の商標を利用して取引する行為などが挙げられます。

ここでは特に営業秘密の侵害のケースを解説します。

営業秘密とは

まず、営業秘密とはどのようなものでしょうか。

不正競争防止法では、「営業秘密」を法律で定義しています。
「営業秘密」といえるためには、秘密として管理されていること(秘密管理性といいます)、有用な営業上または技術上の情報であること(有用性といいます)、公然と知られていないこと(非公知性といいます)、の3つの要件を充たすことが必要です。

つまり、誰でも見られる情報や、技術上役立つものではない情報、誰でも知ることができる情報のどれかに当たることになれば、いくら会社が「営業秘密」であると主張したとしても保護されないのです。

代表的なものとしては、一般的に「営業秘密」だと考えられている営業上の秘密である顧客名簿や仕入先リストが考えられますが、技術上の秘密である製造技術や製造図面、研究データなどといった「ノウハウ」も、上記の要件を満たすことにより、営業秘密として保護されることになります。

「ノウハウ」とは、特許を取得せず、社内の営業秘密として秘匿する技術情報となりますので、第三者に知らぬ間に特許を取得されたりするリスクがあり、また、営業秘密を侵害されたとして訴訟等をする場合にも、営業秘密を不正に取得されたことを立証しなければならないところ、立証が困難であるという問題も抱えています。

営業秘密が侵害されていることに気が付いた場合

営業秘密が侵害されていることに気が付いた場合、まずは警告書や通知書を送り、相手方に対して、即時に営業秘密の侵害を停止し、損害賠償を請求することになります。
相手方が任意に応じれば、交渉を重ねることにより解決することもあります。

もっとも相手方が請求を無視した結果、営業秘密の侵害が継続されてしまうなどというケースもあるでしょう。
そのような場合は、訴訟などの法的手続きに訴える必要があります。

差止請求と損害賠償請求

訴訟においては、相手方の営業秘密の侵害行為の差し止めと、営業秘密の侵害により発生した損害について損害賠償を求めることが一般的です。
不正競争防止法上、請求権としては、差止請求と損害賠償請求が認められています。

損害額の算定に当たって「推定規定」がある

また、不正競争防止法においては、損害額の算定に当たって「推定規定」があるため、一般的な損害賠償請求よりも有利です。
また、書類提出命令や、営業秘密という性質上、秘密保持命令や訴訟記録の閲覧制限、非公開審理という手続きが採れるようになっています。

刑事罰が定められています

これらは民事上の手続きですが、不正競争防止法においても、刑事罰が定められています。

場合によっては、警察に相談し、刑事告訴をするなどして、刑事手続きによる制裁を促すことも行います。
刑事手続きが並行しているということは、営業秘密を侵害する者に対する大きなプレッシャーとなりますので、これにより相手方が妥協し、和解が成立しやすくなる傾向もあります。

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営業権侵害への対応の流れ及び対応業務の内容

お問い合わせ

まずは、お電話またはメールにてお問い合わせをいただき、ご面談の日程を設定させていただきます。

法律相談

最初は、法律相談をさせていただきます。
訪問でも来所でも対応可能です。

初回相談は一部無料になりますので、お気軽にご相談ください。
この段階でお見積りを作成させて頂きます。

ご依頼を頂くこととなりましたら業務委託を結ばせていただきます。

事実関係の調査

営業秘密の侵害の内容につき、保有する営業秘密と、相手方の営業秘密侵害行為の対比を行い、検討を致します。
別途、「営業秘密」の要件を充たすかについても確認をさせて頂きます。

場合によっては、第三者が営業秘密について特許等を取得しているのかの調査を行う必要があり、仮に不正に特許等が取得されている場合には無効の申立てなども行う必要があります。

交渉での解決を目指す

営業秘密の侵害をしている相手方と交渉を行うこととなります。
具体的には相手方との面談や通知書でのやりとりを行うことになります。

訴訟の提起など

交渉で解決することができなければ、営業秘密侵害行為の差し止めの仮処分を行ったり、訴訟の提起を行ったりすることとなります。
すなわち、元従業員などによる営業秘密の侵害対応について、事案の内容とご希望を踏まえた上で、どのような手法を採用すべきか、その場合、どのようなメリットが生ずるか、どのようなデメリットが生ずるかについて、検討したうえで、その後の具体的な進め方について決定する必要があります。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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