人事労務デューデリジェンス(DD)

M&A買収する際に最も気を付けなければいけないのは、対象会社に人事労務上の問題点が存在しているのではないかということです。

実際のところ、人事労務上の問題点は、たいていの買収会社に存在しているというのが経験則です。

そうであれば、M&A買収する前に、人事労務のデューデリジェンス(DD)を行っておく必要がありますが、人事労務上の論点は非常に多く存在し、幅広くなっています。それに伴って、問題点が多く潜んでいるのです。

M&A買収の人事労務デューデリジェンス(DD)の際に、特に留意するべき項目は下記のような箇所です。

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人事労務デューデリジェンス(DD)の項目

対象会社の従業員の区分及び人数は、対象会社の2013年○月○日現在の従業員リストによると、下記のとおりである。対象会社によると、対象会社の従業員の構成は、正社員とパートタイマー及び派遣社員から構成されるとのことであった。

区分 人数 備考
正社員 ○名 うち○名は再雇用の嘱託社員
パートタイマー ○名
派遣社員 ○名
  • 役員報酬

対象会社では、役員報酬規定は存在しないが、平成25年○月○日の定時株主総会において、①取締役の報酬総額(使用人兼務取締役の使用人としての給与を含まない)について、年額金○円以内、②監査役の報酬総額について、年額金○円以内とする決議がなされている。

また、対象会社では、平成25年○月○日の取締役会において、役員報酬につき、○社長が月々支給額○万円、○取締役が月々支給額○万円、○取締役が月々支給額○万円とする決議がなされている。

  • 役員賞与

対象会社によると、○取締役及び○取締役に対しては、役員賞与を支給しているとのことであった。

  • 役員退職慰労金

対象会社によると、対象会社においては、先代社長が退任する際に、役員退職慰労金規程を作成し、それに基づいて役員退職慰労金を支給したとのことでり、また、役員退職慰労金は、それ以降は支給されたことはないとのことであった。

なお、当該役員退職慰労金規程においては、株主総会での承認が条件ではあるものの、役員退職慰労金の額は、下記計算式に基づくものとされており、また、同規程には特別功労加算金に関する規定も存在することに鑑みると、○社長が退任する場合の役員退職慰労金の額はかなりの高額になるものと思われ、留意が必要である。

第3条(退職慰労金の額の算出)
役員の退職慰労金の額は次の算式によって得たものとする。
①      退職慰労金の額=退任時の報酬月額×役員在任年数×最終役位係数
②      各役位別の役位係数は次の通りとする。
代表取締役会長                  3.0
代表取締役社長                  3.0
専務取締役                          2.0
常務取締役                          2.0
取締役                                  2.0(常勤)
監査役                                  2.0(常勤)
監査役                                  1.5(非常勤)
ただし、役位に変更のある場合には、役員在任中の最高位をもって最終役位とする。また、役位の変更によって、報酬月額に減額か生じた場合も、最終報酬月額は役員在任中の最高報酬月額とする。

 

  • 従業員兼務役員

対象会社によると、○取締役は、就業規則(賃金規程・退職金規程を含む)の適用がある役員であるとのことであった。

  • 就業規則

対象会社の就業規則(賃金規程及び退職金規程を含む)には、平成25年○月○日付け○労働基準監督署の受領印が押されており、労働基準監督署への届出はなされている。

なお、対象会社から開示を受けた就業規則の変更届けによると、対象会社の就業規則では、平成○年○月に、家族手当・精皆勤手当が廃止され、他方、部長(月額○万円)及び課長(月額○万円)に加え、係長(月額○万円)の役職手当が新設されている(他方、住宅手当は廃止されていないようである)。ただ、対象会社から開示を受けた賃金台帳によると、家族手当・精皆勤手当が支払われている者も居り、対象会社よると、「途中変更の為、従来の従業員にはそのまま、新規採用者より適用」ということであった。

  • 労使協定

対象会社において、以下の労使協定が締結され労働基準監督署に届け出られている。

・  平成25年○月○日付け1年単位の変形労働時間制に関する協定届
・  平成25年○月○日付け事業場外労働に関する協定届
・  平成25年○月○日付け育児・介護休業等に関する労使協定
・  平成25年○月○日付け時間外労働・休日労働に関する協定届
  • 雇用契約

対象会社より対象会社の雇用契約書のフォーマット(正社員及びパートタイマー別)の開示を受けた。

対象会社によると、後記の労働基準監督署からの是正勧告以前においては、パートタイマーについてのみ雇用契約を作成していたが、同是正勧告以降は、新規に採用する正社員から雇用契約書を作成するようになったとのことであった。

  • 雇用期間

対象会社のパートタイマーについては、1年契約であるが、これまでは、本人が退職を希望するまで継続勤務して頂いて来ており、5年間契約更新し継続勤務しているパートタイマーも多く存在し、10年以上契約更新し継続勤務しているパートタイマーも存在するとのことであった。以上に鑑みると、対象会社においては、パートタイマーは、雇用契約の更新が労使慣行となっている可能性が高く、期限の定めのない労働契約になっていると評価すべきというのが実態である。そのため、今後、雇い止めは解雇と同様に慎重な取扱いが必要であると思われる。

また、労働契約法第18条により、平成25年4月1日以後に開始した有期労働契約が通算で5年を超える場合、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換する点についても、今後留意が必要である。

  • 就業時間・時間外手当・休日手当

対象会社の就業規則及び労使協定によると、対象会社における就業時間は、下記のとおりである。

【就業規則】
第4条(就業時間、休憩時間)
①      職員の就業時間は毎年4月1日を起算日とする1年単位の変形労働時間制を採用し、週の就業時間は1年を平均して40時間とする。
②      1日の拘束時間は1日9時間とし、これを労働時間8時間と休憩時間1時間とに分ける。
③      終業時間は次の通りとする。ただし、季節または業務の都合により労働時間8時間を超えない範囲で始業、終業の時刻または休憩時間を変更することがある。
始業時刻           午前8時30分
終業時刻           午後5時30分
休憩時間           午後0時00分~午後1時00分
④      ○○部門については始業時刻午前9時、終業時刻午後6時、休憩時間1時間とし、実情に応じて実働8時間の範囲で始業・終業の時刻を変更することがある。この場合はシフトを作成し各人に通知する。
第4条の2(事業場外みなし労働時間制)
1.      第4条の定めにかかわらず、社員が業務の全部または所定事業場外で行う場合で終業時間を算定し難いときは、本規定第4条に定める所定終業時間労働したものとみなす。
2.      前項に定める業務以外の業務に従事する社員が要務を帯びて出張する場合にも前項と同様とする。ただし、管理者があらかじめ別段の指示をしたときは、このかぎりではない。
3.      第1項の規定は労働基準法第38条の2第2項に基づく労働協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出て行う。
4.      第1項に定める労働時間は第3項の労働協定で定める。
【労使協定】時間外労働・休日労働に関する協定届

所定労働時間 延長することができる期間
1日 1日を超える一定の期間(起算日)
1ヶ月(毎月1日) 1年(2月1日)
1日8時間 3時間 42時間 320時間
所定休日 労働させることができる休日並びに始業及び終業の時刻
日曜、祝日、第2・3・4土曜日、その他会社が指定する日(年間休日105日) 一賃金締め切り機関(1日~末日)の法定休日のうち2日間就業時間8時30分~17時30分
休日労働をさせる必要のある具体的事由 業務の種類 労働者数(満18歳以上の者)
月末等業務多忙時 営業 ○人
月末等業務多忙時 管理 ○人
納品等業務多忙時 店舗 ○人
決算及び伝票等締日 事務 ○人

協定の成立 平成25年○月○日

【労使協定】
1年単位の変形労働時間制に関する協定書
(勤務時間)
第1条 所定労働時間は、1年単位の変形労働時間制によるものとし、1年を平均して週40時間を超えないものとする。
2 1日の所定時間は、8時間00分とし、始業・就業の時刻、休憩時間は次のとおりとする。
始業=午前8時30分
就業=午後5時30分
休憩時間=正午~午後1時00分
(対象となる従業員の範囲)
第4条 本協定による変形労働時間制は、次のいずれかに該当する従業員を除き、全従業員に適用する。
1.満18歳未満の者
2.妊娠中又は産後1年を経過しない女性従業員のうち、本制度の適用免除を申し出た者
3.育児や介護を行う従業員、職業訓練又は教育を受ける従業員その他特別の配慮を要する従業員に該当する者のうち、本制度の適用免除を申し出た者協定の成立
平成25年○月○日
【労使協定】
事業場外労働に関する協定書
第1条(適用対象者)
本協定は、営業職として事業場外で取引先訪問その他の営業活動に従事し実働時間の算定が困難な場合に、これを適用する。
2.前項の適用を受けるものは、あらかじめ指名する。第2条(みなし労働時間)前条の適用を受けるものが、営業活動等の遂行に通常必要とする労働時間は、就業規則第4条に定める所定労働時間にかかわらず7時間30分とみなす。
第5条(手当)
適用対象者には、事業場外での勤務及び帰社後の事務その他の付随業務に対して営業手当を支給する。
協定の成立 平成25年○月○日

対象会社によると、対象会社では、取引先にて常駐で業務を行っている社員を除き、タイムカードにより労働時間管理が行われているとのことであった。

対象会社によると、取引先にて常駐で業務を行っている社員(裁量労働従事者以外に一般の従業員も存在するとのことであった)については、タイムシートを作成してもらっており、自己申告制になっているとのことであった。

また、時間外手当・休日手当についても、タイムカード又はタイムシートの記録に従って支給されるとのことであり、この点で、時間外手当・休日手当の未払いが存在する可能性は低いものと思われる。

  • 労働時間管理

対象会社によると、対象会社では、タイムカードで労働時間管理を行っているとのことであった。ただ、取引先にて常駐で業務を行っている社員については、タイムシートを作成してもらっており、自己申告制になっているとのことであった。

しかし、タイムカードで労働時間管理を行い始めたのは、後述の労働基準監督署から是正勧告を受けてからとのことであった。

なお、対象会社によると、「月45時間、月80時間及び月100時間を超える長時間の時間外労働を行った従業員」は存在していないとのことであった。

  • 管理監督者

対象会社では、前述のとおり、男性の正社員の全員(○名)が管理職として、時間外勤務手当や休日手当が支給されないとのことであった。

この点、対象会社の実態は明らかではないが、男性の正社員の全員(○名)が管理職というのは広範に過ぎるものと思われ、本来、管理監督者とは評価できないものも含まれている可能性があり、その者に対して本来支給されるべき時間外勤務手当や休日手当が支給されていない可能性があるものと思われる。

ただし、対象会社によると、対象会社において、近時は、そもそも残業がほとんど無いとのことであり、この点で、未払いの時間外勤務手当や休日手当が存在する可能性は、大きくはないものと思われる。

  • 賃金
  • 対象会社から開示を受けた就業規則の変更届けによると、対象会社の就業規則では、平成○年○月に、家族手当・精皆勤手当が廃止され、他方、部長(月額○万円)及び課長(月額○万円)に加え、係長(月額○万円)の役職手当が新設されている(他方、住宅手当は廃止されていないようである)。

    ただ、対象会社から開示を受けた賃金台帳によると、家族手当・精皆勤手当が支払われている者も居り、対象会社における各種手当の実際の運用は明らかではなく、現在確認中である。

    • 賞与

    対象会社によると、現在、会社の業績が悪いため、従業員に対して、賞与は支払われていないとのことであった。

    ただし、給与規程には、「賞与は、会社の業績を勘案し、原則として夏季及び冬季に支給する。」「但し、会社の業績の著しい低下により支払時期の延期、支給額の減額、もしくは支給しないことがある。」と規定されており、従前、会社の業績が悪くなかったときは、年2回、それぞれ2カ月分を支給していたとのことであった。

    対象会社の経営状態が回復した場合、事実上、賞与の支払い(年2回、それぞれ2ヶ月分)が求められる可能性があるものと思われる。

    • 社会保険

    対象会社によると、現在、資金繰りの問題から、厚生年金の掛け金を滞納しており、対象会社から開示を受けた資料によると、平成25年○月○日に支払うべき○円を滞納しているとのことであった。

    • 退職金

    対象会社においては、退職金規程が定められており、勤務年数2年未満の者及びパートタイマー若しくは日雇その他の臨時職員を除き、適用されることとされている。

    なお、対象会社においては、中小企業退職金共済に加入しており、その加入状況は、下記のとおりである。

    しかし、対象会社の退職金規程においては、同制度により支払われる金額を対象会社が退職者に対して直接支払う退職金から控除する旨の規定が存在しておらず、規定上は、退職金を二重払いしなければならない状態であり、この点、明確に規定することが好ましい。

    なお、対象会社によると、中小企業退職金共済の掛け金については、未納は無いとのことであった。

    なお、対象会社から提示を受けた中退共掛金額に関する資料によると、同共済の平成25年○月の中退共掛金額及び退職金試算額は、下記のとおりであり、退職金の準備額としては、大きな不足は存在しない状態である。

    従業員数 平均勤務年数 退職金資産額 中退共掛金額 不足額
    ○名 ○年 ○円 ○円 ○円
    • 有給休暇

    対象会社によると、対象会社においては、有給休暇の取得に障害は無いとのことであった。

    • 社宅

    対象会社によると、○から通勤している社員1名のため、社宅及び駐車場を借りているとのことであった。

    • 従業員貸付け

    対象会社においては、従業員貸付制度はなく、従業員に対する貸付は存在していないとのことであった。

    • 休職・休業

    対象会社によると、対象会社で、長期間休職・休業している従業員は一人もいないとのことであった。

    • 定年・再雇用

    対象会社によると、下記就業規則及び労使協定のとおり、定年は満60歳とされており、定年後の嘱託として、定年後、本人が引き続き勤務を希望し、かつ会社が業務上必要と認めた時は、嘱託として再雇用(ただし、嘱託社員は原則として、1年ごとに雇用契約を更新)することがあるとのことであった。

    【就業規則】
    第43条(定年)
    定年は60歳とし定年に達した日の翌日をもって退職とする。ただし、本人が希望し、「継続雇用対象者の基準に関する労使協定」に定める要件をすべて満たす者は65歳に達する日の翌日まで再雇用する。
    【労使協定】
    継続雇用対象者の基準に関する労使協定
    第1条再雇用により65歳までの継続雇用の対象となる者は、60歳定年に達した者で、第2条に定める要件をすべて満たす者とする。
    第2条(1)   本人が再雇用を希望し、勤務に精勤する意欲のある者(2)   過去2年間の出勤率が80%以上であり、かつ無断欠勤のない者(3)   定年前の2年間の勤務評価が平均以上の者(4)   直近の健康診断の結果、医師から業務遂行に支障がないとされた者(5)   過去5年間に懲戒処分を受けていない者
    再雇用を希望する者は、定年の6ヶ月前に会社宛に申請書を提出するものとする。会社は、申請書受理後、前項の要件を判断する。第3条前条の要件を満たさない場合でも、高度の技術・技能を有する等会社が特に必要と認めた者については再雇用の対象とすることがある。

    この点、対象会社には、再雇用した嘱託社員が○名存在し、対象会社は再雇用に関して国から補助金を受領しているとのことであった。

    • リストラ(給料減額及び雇い止め)

    対象会社によると、近年、○の減少に伴い財務上の問題が発生し、①2010年○月○日の役職員の給与等の削減(役員○名及び職員○名の給与減額並びに営業職正社員の諸手当の減免)、②2011年○月○日における○名のリストラ、③2012年○月○日における○名のリストラ、④2013年○月○日における○名(但し、最終的に○名)のリストラが行われている。

    2010年の役職員の給与等の削減(役員○名及び職員○名の給与減額並びに営業職正社員の諸手当の減免)(①)については、○○○○○○とのことことである。

    2011年○月○日における○名のリストラ(②)(なお、給与の削減は行われていない)においては、○○○○○○○○とのことであった。

    2012年○月○日における○名のリストラ(③)については、これも対象会社の財務上の問題から、高齢の者など(営業職のみ)について、雇用契約書を更新せず、雇い止めを行ったとのことであった。なお、この際、同職員からは、退職同意書に押印してもらっておらず、事実上、労働契約書を更新しなかったのみであるとのことであった。この点、前述のとおり、対象会社においては、労使慣行として、期限の定めのない労働契約になっているものと思われることから、上記だけでは、退職同意書等の退職合意を証する書面が存在しないこととなるものの、対象会社によると、その後、トラブルになっているものや、今後トラブルになりそうなものは無いとのことであった。

    また、2012年○月○日における○名のリストラ(④)については、○社長において、○名を指名で雇い止めしたため、同○名が外部の労働組合(全国一般労働組合○部)に加入し、労働委員会にあっせんを申し立てた。そのうち○名については、対象会社に復職することとなり、残りの○名に関して手続きが継続され、解決金として中小企業退職金共済制度に基づき支払われる退職金のほかに、対象会社より約○万円が支払われて決着した。なお、対象会社と当該○名との和解の協定書の概要は、下記のとおりである。

    協  定  書
    申請者全国一般労働組合○部(以下「組合」という。)と被申請者株式会社○(以下「会社」という。)とは、平成25年○委争第○号事件について、下記のとおり協定する。
    記○○○平成25年○月○日
    申 請 者  全国一般労働組合○部
    執行委員会  ○○  ○○○
    組 合 員  ○
    組 合 員  ○
    組 合 員  ○
    被申請者  株式会社○
    代表取締役  ○○  ○○
    立 会 人  東京都労働委員会
    あっせん員  ○○  ○○
    ○○  ○○
    • 解雇

    その他、対象会社によると、昨年、社外で傷害事件を起こした従業員1名が、○が発覚したり、勤務態度が著しく不良であったため、解雇したことがあるとのことであった。

    対象会社によると、この際、同従業員には、退職合意書に押印を貰っており、なお、その後、特段トラブルにはなっていないとのことであった。

    • 懲戒・不祥事

    対象会社では、過去5年間において、懲戒事例・不祥事事例は存在しないとのことであった。

    • 労働組合

    対象会社によると、対象会社には労働組合は存在しないとのことであった。

    • 取引先常駐社員

    対象会社によると、取引先にて常駐で業務を行っている社員は全員で○名であり、全て株式会社○本社に常駐している。

    なお、株式会社○では、開発と管理の仕事があり、それぞれにつき1名ずつリーダーがおり、原則として、リーダーを経由して、株式会社○から指揮監督を受けているが、事実上、直接指揮監督を受ける可能性は存在するものと思われるとのことであった。

    対象会社としては、特段、それ以外、偽装請負・偽装委託とされることを回避するための対策を講じていないとのことであったが、上記の対策を講じていれば、偽装請負・偽装委託とされる可能性は比較的低いものと思われる。

    • 派遣社員

    また、対象会社によると、対象会社には、派遣社員が数名程度存在しているとのことであった。

    なお、現在勤務している派遣社員のこれまでの派遣期間は1年程度であるとのことであった。これまでは派遣社員は派遣期間終了後、正社員となることを希望せずに退職するものが多かったとのことであった。また、派遣社員の業務は「事務器の操作」であり、事務処理であるが、熟練することが必要であり、業務に慣れるまで半年くらいかかるとのころで、単純業務ではないと考えているとのことであった。

    また、対象会社では、平成25年○月に紹介予定派遣○名を受け入れたものの、今後直近においてもう○名紹介予定派遣を受け入れる予定とのことであった。

    • 外国人従業員の在留資格

    対象会社の正社員○名とパートタイマー○名が中国人であるとのことであった。対象会社によると、同中国人は、いずれも日本に永住権を持っており、日本での就労に問題は無いとのことであった。

    • 労働災害

    特に存在しないとのことであった。

    • 労働基準監督署からの是正勧告及び指導

    対象会社によると、対象会社が受けた労働基準監督署の検査・是正勧告・指導については、下記のとおりである。

    なお、対象会社に対して、労働基準監督署・労働局が検査に入った端緒としては、特段、対象会社の元従業員が労働基準監督署等に対する申し出が理由ではないとのことであった。

    是正勧告書
    平成25年○月○日○
    株式会社代表取締役 ○○
    労働基準監督署労働基準監督官 ○○
    貴事業場における下記労働基準法、労働安全衛生法違反については、それぞれ所定期日までに是正の上、遅滞なく報告するよう勧告します。なお、法条項に係る法違反(罰則のないものを除く。)については、所定期日までに是正しない場合又は当該期日前であっても当該法違反を原因として労働災害が発生した場合には、事案の内容に応じ、総研手続きをとることがあります。また、「法条項等」欄に□印を付した事項については、同種違反の繰り返しを防止するための点検責任者を事項ごとに指名し、確実に点検補修を行うように措置し、当該措置を行った場合にはその旨を報告してください。

    法条項等 違反事項 是正期日
    労基法第15条 25.5.25
    指導票
    平成25年○月○日○
    株式会社代表取締役 ○○
    労働基準監督署労働基準監督官 ○○
    あなたの事業場の下記事項については改善措置をとられるようお願いします。
    指導事項○
    是正・改善報告書
    平成25年○月○日○
    労働基準監督署長 殿企業名    ○○
    株式会社代表者職氏名 代表取締役 ○○
    平成25年○月○日、労働基準監督官内村聡一郎より使用停止等命令・是正勧告・改善指導を受けました事項について、下記のとおり是正しましたので報告します。

    1 法違反で是正勧告された事項

    法条項 違反事項 是正期日 是正状況(具体的に記入すること)
    労基法第15条 23.5.25

    2 点検責任者について是正勧告された事項N/A 略3 改善指導を受けた事項

    指摘事項 改善状況(具体的に記入すること)
    • 従業員とのトラブル・紛争

    特段存在していないとのことであった。

    • 障害者雇用

    対象会社においては、特段、障害者を雇用しておらず、障害者雇用促進法に定められた障害者雇用率を達成されていない。

    • その他

    ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

    以上
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      弁護士土屋勝裕
      弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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