M&Aと雇用関係助成金問題(補助金問題)
M&Aの法務デューデリジェンスにおいては、「M&Aと雇用関係助成金」についても検討をする必要があります。
会社によっては、従業員の採用について、雇用関係助成金を得ているケースが多くなっています。
①従業員の雇用維持を図る場合の助成金、②離職者の円滑な労働移動を図る場合の助成金、③従業員を新たに雇い入れる場合の助成金、④障害者等の雇用環境整備関係の助成金、⑤雇用環境の整備関係の助成金、⑥仕事と家庭の両立に取り組む場合の助成金、⑦キャリアアップ・人材育成関係の助成金、⑧労働時間・賃金・健康確保・勤労者福祉関係の助成金などです。
他方、近年、社会保険労務士による助成金詐欺事例が増加しています。
手数料収入が欲しいために、社会保険労務士が、助成金コンサルタント業を行い、要件を満たしていないのに、典型的な場合は、書類を偽造したり、従前からの従業員を新規採用だと偽って申請したりして、違法な助成金申請が行われているのです。
そのような社会保険労務士によっては、逮捕されたり廃業を余儀なくされた人も多く存在します。
その関係で、会社が助成金しゅうんゆうを得ていたとしても、後日、助成金申請の違法が発覚し、助成金を返還する必要が発生することがあります。
これらについては、法務デューデリジェンスにおいても発見は難しく、助成金の申請書の写しをレビューしたり、助成金申請の過程をインタビューするなどし、助成金収入の適切性を確認する必要があります。
また、助成金申請の適切性の確認と言っても限界はあり、すくなくとも、株式譲渡契約書などにおいて、表明保証を取るなどして、リスクヘッジをする必要があろうかと思われます。
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