人材紹介とは?サービスの種類や人材派遣との違い、メリット・デメリットを解説

自社で採用活動を行なっていても、なかなか応募者が集まらない、応募者が来ても、なかなか希望する人材と出会えないなど、課題を抱え、人材紹介のサービスの活用を検討されている方々も多いのではないでしょうか。

人材紹介を活用するにあたり、そもそも人材紹介とはどんなサービスなのか、費用はいくらかかるものなのか、活用することで希望する人材に出会えるようになるのか、といった疑問や不安をお持ちの方も多いと思います。

この記事では、人材紹介の活用を検討されている方向けに、人材紹介の仕組み、特徴や種類、メリット・デメリットや注意点、活用すべきケースなどをわかりやすく解説します。

Contents
  1. 人材紹介の仕組み
  2. 人材紹介の種類
  3. 人材紹介会社の特徴
  4. 人材紹介サービスの料金体系
  5. 人材紹介と人材派遣との違い
  6. 人材紹介とその他の人材採用方法との違い
  7. 人材紹介が必要とされる背景
  8. 企業が人材紹介を利用するメリット
  9. 人材紹介を利用するべきケース
  10. 人材紹介における採用までの期間
  11. 人材紹介における採用までの流れ
  12. 人材紹介を利用する時の注意点
  13. 人材紹介会社の選び方
  14. まとめ

人材紹介の仕組み

人材紹介とは、厚生労働省による職業紹介事業の許可を有する事業者が人材を探している求人企業と求職者をマッチングし、採用支援を行うサービスです。

提供された求人内容に合う人材を見つけて、依頼主である求人企業に紹介し、採用となり、求職者と企業が直接雇用契約を結び、入社した段階で紹介手数料を企業が人材紹介会社に支払う成功報酬型の仕組みです。

つまり、求人企業は、初期コストをかけずに採用活動をスタートでき、募集自体にコストがかからないために、通年で募集を行うことができます。一方で、求職者に斡旋に対する手数料の請求はしません。

転職エージェントが企業と求職者の橋渡し役となり、それぞれのサポートを専任で行う

転職エージェントと呼ばれるコンサルタントが求人企業と求職者のそれぞれに対して専任でサポートを行います。

求人企業への支援としては、採用に関わるさまざまな業務を代行します。例えば、求人票の作成支援、採用条件にあった求職者情報の収集、整理、面接の日程調整、条件交渉、応募者への合否連絡やその後のフォローなどを求人企業に代わって行います。

一方、求職者には転職活動全般の支援を行います。求職者の求める条件に合った求人企業の紹介、履歴書や経歴書などの応募書類の記載方法のアドバイスや添削、面接での説明内容の確認や練習まで、そのサポートは多岐に渡ります。

人材紹介の種類

人材紹介のサービスには次の3種類があります。

  • 登録型
  • サーチ型
  • 再就職支援型

サービスの種類によって、人材の探し方や人材紹介会社から求職者へのアプローチの方法が異なります。この章では、それぞれの特徴についてご紹介します。

登録型

登録型の人材紹介は一般型とも呼ばれ、担当のコンサルタントが人材紹介会社のデータベースに登録された求職者の中から求人企業の採用要件にマッチした候補者を選び、提案する、マッチングのサービスです。一般的な人材紹介の種類であり、実務層からミドル層の採用に適しています。

登録型にはさらに、業界や業種問わず幅広い求人を総合的に取り扱う「総合型」と、ある特定の業界や業種のみに特化した求人を専門的に取り扱う「専門型」があります。近年では、デザイナーやエンジニアなどのような、特定の職種に特化した専門型も増えつつあります。登録型は幅広い人材が登録されているため、候補者を広く集められ、多くの候補者情報のもと、より多くの採用需要に対応ができるというメリットもあります。

サーチ型

サーチ型の人材紹介は、ヘッドハンティング、エグゼクティブサーチとも呼ばれ、自社のデータベース上に登録された求職者だけでなく、幅広い方法で候補者を探す方法です。Facebook、LinkedInなどのSNSや他社のデータベース、人脈などあらゆる手段、ネットワークを駆使して人材を探します。そのため、まだ転職活動に着手していない転職潜在層にもアプローチできます。

基本的には登録型と同じ成果報酬ですが、場合によってはリテーナーという依頼時に「着手金」が生じるタイプもあります。

サーチ型は、一般的にエグゼクティブ層や上級管理職を対象に行われます。具体的には候補者が絞られる役員候補や事業部長候補などです。また、特定の専門スキルをもつポジションの求人でも使われます。

再就職支援型

再就職支援型はアウトプレースメント型とも呼ばれ、リストラ、事業縮小などにより人員整理を検討する企業が利用します。

依頼企業に対しては、法律関連の知見に基づいて、労働組合への対応や個別の事案に対するアドバイスや支援を行い、退職する社員に対しては、キャリアカウンセリングや職業紹介などの再就職支援を行います。

再就職支援型の場合、リストラなどを行う雇用元の依頼企業がサービスに対する費用を負担するため、退職者を受け入れる企業側にとっては、コストをかけずに人材を確保できるメリットがあります。

人材紹介会社の特徴

人材紹介会社の特徴から、次のように分けることができます。

カバーする案件の範囲として2つに分けられます。

  • 総合型
  • 専門(特化)型

また、ビジネススタイルの違いとして2つに分けられます。

  • 分業制
  • 一気通貫制

人材紹介会社の特徴によって、強みが異なります。自社の採用要件に合った特徴を理解する必要があります。この章では、それぞれの特徴についてご紹介します。

総合型

総合型とは、業界や職種に制限を設けないタイプです。求人案件や求職者を幅広く集めることができます。

専門型

専門(特化)型とは、特定の業界や職種に特化した求人に対応して人材を紹介していくタイプです。その業界や職種、その他、どのような条件に特化するのかは各社により異なります。
専門(特化)型は、エージェントが専門的な知識を持ち合わせており、特化した業界や職種に関しては豊富な情報と案件を抱えている点が強みです。

分業制

分業制とは、人材紹介会社のエージェントが企業側と求職者側にそれぞれ別に分かれて業務を行うスタイルです。エージェント間での情報共有はきちんとされています。分業することで業務を効率化させ、マッチング機会の最大化を図っています。

一気通貫制

一気通貫制とは、一人のエージェントが企業側と求職者側への対応を一貫して行うスタイルです。両社のニーズを理解できるので、それぞれに対して、丁寧なサービスを適時に提供することが可能となり、マッチングの精度も高くなります。

人材紹介サービスの料金体系

基本的に人材紹介の料金体系は「成功報酬型」です。そのため、人材紹介会社から紹介された人材を採用した場合にのみ費用が発生します。紹介してもらったものの、採用に至らなかった場合には、費用は発生しません。

紹介手数料には、「届出制手数料」と「上限制手数料」の2種類があり、多くの事業者は前者を採用しています。一般的に相場としては、入社する人材の初年度の理論(想定)年収(月額給与の12ヶ月分+賞与)の30~35%に設定されている場合が多く、スキルの専門性が高い場合やエグゼクティブ層の場合には提案の難易度が高くなるため40%程度になる場合もあります。一方、求職者から斡旋料を徴収することは原則としてありません。

また紹介手数料には返金規定があり、紹介された人材が早期で退職してしまった場合は、一定金額が返金されます。

人材紹介と人材派遣との違い

人材紹介と人材派遣では、企業と労働者を仲介するという意味では似ていますが、提供するサービス、雇用契約、料金などが異なります。

人材紹介は、企業の採用要件を満たした人材を紹介し、採用支援をすることが主なサービスです。一方、人材派遣では、企業の依頼業務に適したスタッフを派遣、管理することが主なサービスです。

また、人材紹介では、雇用契約を結ぶのは求人企業と求職者です。人材紹介会社はあくまで、求人企業の採用活動のサポートの役割です。一方で人材派遣では、人材派遣会社と労働者が雇用契約を結び、受け入れ企業とは雇用契約を結びません。あくまで契約上定められた一定期間において、労働者を企業に派遣し、労働力の補完するサービスです。

よって、その対価である料金についても、人材紹介では、採用活動の支援に対して、入社した場合のみ成功報酬として紹介手数料を求人企業が人材紹介会社へ支払います。一方で、人材派遣では、派遣期間中、派遣された労働力に対する対価を労働者の時間単価に実働時間数をかけたもの支払います。

人材紹介とその他の人材採用方法との違い

人材紹介に関連して、その他の次のような人材採用方法について確認したいと思います。

  • 転職エージェント(人材紹介)と転職サイトとの違い
  • 紹介予定派遣
  • ハローワーク
  • 求人広告
  • 自社HP

人材紹介との違い、人材紹介のメリットを理解する上で参考になります。

転職エージェント(人材紹介)と転職サイトとの違い

一般登録型の人材紹介会社である「転職エージェント」と混同されやすいのが「転職サイト」です。企業と求職者の間に立つという点は同じですが、サービスの詳細を見れば、実に多くの違いがあることが分かります。

転職エージェント(人材紹介)では、求職者一人一人に専任のエージェントが付きます。マンツーマンで転職活動を進めていくため、自分の経歴、スキル、強み、弱みなどをエージェントが理解し、自分に合った求人情報を教えてくれます。求人の応募、面談の日程調整もしてくれます。企業の情報や面談の結果に関する情報など、エージェントが生の声で情報共有してくれます。求人情報も非公開の情報も多数あります。

一方、転職サイトでは、エージェントは付きません。サイトの膨大な求人情報から自分で自分自身に合っていると判断した企業の求人に自分で応募します。面談まで進めば、自分で日程調整することになります。その結果などはあくまで先方企業からのみで、細かいフィードバックや、今後の活動のためのアドバイスもありません。すべて自分のペースで活動し、自分で判断することになります。

ですので、求職者として、限られた時間で効率よく転職活動を進めるのであれば、エージェントのサポートが得られる転職エージェント、人材紹介がマッチしているということになります。一方、求人企業としても、紹介者としてのエージェントを経由した採用活動のほうがより企業にマッチした求職者との面談をセットできる可能性が高まります。

紹介予定派遣

紹介予定派遣は、人材派遣会社と労働者派遣契約を結び、直接雇用へ切り替えることを前提に最長6ヶ月間、派遣スタッフを受け入れる方法です。募集要件に合った人材を確保しやすく、6ヶ月間に双方で合っているかを直接雇用する前に見極めることができ、ミスマッチが防げます。一方で、派遣費用の他、紹介手数料も払う必要があり、採用人数が多くなると採用費用が高額になる懸念があります。

ハローワーク

募集費用もかからず、幅広く人材を募集できますが、必ずしもマッチしない求人応募者の対応が必要になります。

求人広告

広告費用がかかるが、幅広く人材を募集できる。必ずしもマッチしない求人応募者の対応が必要になり、また採用活動を非公開にはできません。

自社HP

募集費用もかからず、掲載期間も調整できる。また自社に関心の高い人材を集められる一方で、自社にまだ関心のない人材に訴求できません。

人材紹介が必要とされる背景

近年、人材紹介の重要性がますます高まっています。それにはいくつかの理由があります。

出生率の低下が継続し、労働力不足が深刻になる中、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」に向けて、大量の退職者が出て、ますます労働力不足が深刻になる一方で、既存システムの技術的な老朽化、システム肥大化、ブラックボックス化が企業のDX推進の足かせになる、いわゆる「2025年の崖」が迫り、DX人材、IT人材が大幅に不足することが予想されます。人材採用はますます売り手市場となり、企業間での採用力には格差が生じているのが現状です。

また、企業が求める人材の要件も多様化しています。少ない人材でも効率よく経営していくためには、本当に自社にマッチした人材が必要であり、そのためにも採用活動におけるマッチング精度がより重要になるといえます。

これらの背景から、さまざまな登録された人材をプールしていて、求人企業と求職者の間に立ってコーディネートをすることで、マッチング精度を高められる人材紹介サービスが、より求められるようになっているのです。

企業が人材紹介を利用するメリット

人材紹介サービスには、求人広告媒体など一般的な採用活動とは違ったメリットがあります。さまざまある中でも次の点について確認したいと思います。

  • 企業が求める人材像にマッチした人を採用しやすい
  • 成功報酬である
  • 専門人材を確保できる
  • 求人募集をすぐにかけられる
  • 応募書類の精度を高められる
  • 採用担当者の業務負荷を抑制できる
  • 非公開で採用活動ができる
  • 自社の魅力を伝えやすい

企業が求める人材像にマッチした人を採用しやすい

企業の採用要件をもとに人材紹介会社のエージェントが候補者を探すため、企業が求める人材像にマッチした人材を採用しやすくなります。エージェントに自社が求める人材像などを詳しく伝えることでマッチ度合いを高められます。

求人の業務内容や特徴、募集部門のメンバー構成、採用の目的、欠員補充なのか組織拡大なのか、など、詳細の情報を共有しましましょう。

成功報酬である

人材紹介は成功報酬ですので、初期コスト、広告費は不要で、1人あたりの採用コストが明確になります。採用に必要な費用が明確化されることで、費用対効果を踏まえた採用計画の立案、採用予算の計画が立てやすくなります。

成功報酬が発生するのは、求職者の入社日です。初期コストをかけずに採用活動をスタートでき、募集自体にコストがかからないために、通年で募集を行うことができます。

内定した求職者が、入社後早期に退職すると企業側が支払った手数料を返金する条件がある場合もありますので、具体的な契約条件は事前に確認しておきましょう。

専門人材を確保できる

人材紹介サービスの中には、特定の分野に特化したサービスも存在し、それらを利用することで、一般的な求人サイトに比べ、ITエンジニアやさまざまなクリエイターなどの専門職を集めやすいことが特徴です。

特化型の人材紹介サービスでは、業界に精通したコンサルタントからのサポートを得られるため、自社に専門職の採用ノウハウがない企業でも求める人材を見つけやすくなります。

求人募集をすぐにかけられる

人材紹介会社と基本契約を結んでいれば、ヒアリングや求人票の送付だけで人材募集をすぐに開始できます。求人サイトを利用する場合は、通常、募集記事の執筆や原稿確認などの工程が生じるため、募集までに時間がかかります。

応募書類の精度を高められる

人材紹介サービスでは、エージェントが候補者のサーチを行います。事前に求人企業からヒアリングした内容や求人票をもとに行い、候補者との面談等を事前に実施するため、候補者側で自由に応募できる求人サイトに比べ、応募書類の精度も高まります。

採用担当者の業務負荷を抑制できる

求人票の作成支援や応募者への対応、採用要件にあった求職者情報の整理などの業務を自社に代わって人材紹介会社が行います。特にエージェントが人材のマッチング作業を行うことで、マッチング度合いの低い面接を減らすことができ、候補者との面談日程の調整や合否連絡等をエージェントが行うため、求人企業の面接官や採用担当者の業務負担を軽減できます。

一方で、エージェントから、採用に関するアドバイスを常に得られるので、採用担当者の知見が高まります。

非公開で採用活動ができる

人材紹介では、非公開で求人を出すことが可能です。例えば、経営層の採用、新規事業の立ち上げメンバーを募集する場合や、退職する社員がいることを社内に公開していないタイミングで人材を採用したい、などの場合に適しています。

また、求人を公開すると特定の職種、または時期によっては応募者が殺到する場合があるため、採用業務の負荷を軽減させたい場合も非公開で求人を出すケースがあります。

自社の魅力を伝えやすい

人材紹介は、エージェントが自社と求職者の間に入り、求人票では伝えきれない自社の魅力を求職者に伝えてくれます。そのため、自社HPや求人広告だけではアプローチできなかった層に、求人情報や自社の魅力を届けることが可能です。

人材紹介を利用するデメリット

人材紹介を利用することでのデメリットとして、次の3点が考えられます。

  • 手数料のかからない一般採用に採用者を優先される
  • 手数料ほしさの人材紹介会社と関わる恐れがある
  • そもそも手数料がそれなりに高額である

これらのデメリットは、必ず被るとは限らず、ここで確認し、理解いただき、その不利益の回避に役立てていただきたいと思います。

手数料のかからない一般採用に採用者を優先される

人材紹介を利用している一方で、応募者の間口を確保するために、同時に通常の採用活動、求人広告を出し、求人志望者を募り、書類選考、面談と行っていることがあります。

人材紹介経由、経由しない一般採用の候補者が選考進め、いざ採用決定の段階になり、同じレベルの人でどちらかを選ぶとなれば、成功報酬を払わないで済む一般採用の候補者を選ぶことになりがちです。そうなるとそもそも人材紹介サービスを使う理由を問われますし、人材紹介会社との関係に問題が生じる場合もあります。

手数料ほしさの人材紹介会社と関わる恐れがある

人材紹介は成功報酬のビジネスであり、人材紹介会社は、その成功報酬のためにマッチングの精度を上げる努力をしていますが、中にはその成功報酬、手数料ほしさに、必ずしも求人企業のニーズに合わない提案や採用活動を行う人材紹介会社が存在します。人材紹介会社を決める際には、その業界の中での評判、他社との比較検討も必要です。

そもそも手数料がそれなりに高額である

人材紹介を利用するにあたり、基本契約書を締結する段階で明確ではありますが、採用する人材の年収の30~35%を成功報酬として手数料を払うことになります。比較の対象をどこに置くのかにもよりますが、一般的には、採用人数が多い場合には、人材紹介を利用しない場合に比べて、手数料支払いの負担は大きくなる、と言えます。

人材紹介を利用するべきケース

どのような場合に人材紹介を利用するべきなのか、効果的なのでしょうか? 人材紹介を利用するべきケースを見ていきましょう。

専門的なスキルを持った人材やマネジメント層の人材が欲しい

特定の業種や業界、職種などに特化した専門性を持つ人材やマネジメント層の人材を採用したい場合、人材紹介を利用するとよいでしょう。そうしたスペシャリストやマネジメント層は転職市場でも人数が限られているため、難易度が高く、求職者を集めるのに時間がかかります。

専門的なスキル、資格、詳細のマネジメント経験などを登録したデータベースを持ち、職種、業界に特化したエージェントを抱える人材紹介会社に依頼する方が効果的に採用活動を行える場合があります。

即戦力が欲しい

事業拡大や新規事業のために即戦力が欲しい場合も、エージェントが候補者の経歴から適切な人材を紹介できます。

急な欠員が発生した

退職により欠員が発生してしまい、急いで採用を行いたい場合には人材紹介が有効です。人材紹介会社と基本契約が締結されていれば、求人票を作成するだけですぐに募集をかけられるからです。

採用のノウハウやリソースが無い

求人企業に採用のノウハウや、人事部門におけるリソースが無い場合も人材紹介は有効です。人材紹介会社は採用のプロフェッショナルです。採用担当者は、エージェントから人材市場の動向などのアドバイスも受けながら、効果的に採用を行えます。

人材紹介における採用までの期間

人材紹介において採用にかかる期間は、求める人材の要件、難易度などにより、さまざまですが、おおむね次のようになっています。

  • 求人企業から人材紹介会社への問い合わせから求人開始まで:1週間程度
  • 選考開始から面接まで:2、3週間程度
  • 内定から入社まで:1ヶ月程度(内定者の都合によって変動)

合計すると、約2ヶ月以上かかるのが一般的です。

人材紹介における採用までの流れ

求人企業が人材紹介会社に問い合わせをするところから始まり、人材紹介会社はその採用条件を確認し、条件にあった求職者をサーチし、紹介をします。紹介された応募者の書類選考をして、進めれば、面接を重ね、合格となれば、内定、入社、最後に求人企業が人材紹介会社に紹介手数料を支払います。
人材紹介における採用までの流れについて、各ステップごとに解説していきます。

問い合わせ、ヒアリング

まずは人材紹介会社に問い合わせることになりますが、担当のエージェントが要件をヒアリングします。打ち合せの際に、あらかじめ求める人材像などを整理しておくとスムーズなやり取りができます。

ただし最初から条件を絞りすぎると求める人材は明確になるものの、候補者が充分に集まらない場合もあるので、条件についてはエージェントのアドバイスも参考にして検討するとよいでしょう。

基本契約書の締結

初めて人材紹介会社と取引を行う場合には、基本契約書を締結することになります。紹介手数料や返金の規定などの条件を確認し、リーガルチェックの上、場合によっては条件交渉し、合意することになります。特に返金規定については十分に確認が必要です。

基本契約書を締結した後、募集したいポジションの求人票を作成することで、いつでも募集を開始できます。

求人票の作成

募集したいポジションの求人票を作成します。企業の採用担当者が作成する場合とエージェントが代行して作成する場合があります。前者の場合でも、エージェントが添削、アドバイスしてくれます。求人票は、そのポジションがいかに魅力的であるかを求職者に伝える重要な役割を担っており、エージェントの知見が手助けになるところです。

サーチ、マッチング

人材紹介会社側でデータベース上の登録者を検索し、要件に合致する人材を探します。候補者が見つかると、エージェントまたはキャリアコンサルタントが候補者と直接コンタクトをとり、面談を行います。

求人票や事前のヒアリングで確認した内容をもとに、候補者の経歴、スキルがどれほど要件にマッチしているのか、直接確認をします。面談後、候補者が応募の意志を固めた段階で企業へ応募となります。

書類選考

人材紹介会社が候補者の応募書類をとりまとめ、企業に提案します。通常、候補者が準備した履歴書や職務経歴書だけでなく、エージェントからの推薦理由、エージェントが確認した候補者の性格、特徴などについても、コメントが記載されています。候補者の実務経験だけでなく、さまざまな情報から期待できるポテンシャルなども含めて総合的に判断して面接をするかどうか決めることになります。

候補者の人柄や書面では書き切れない業務経験など、実際に会って話してみないとわからない点も多いので、必要に応じて、エージェントに確認することもできます。

面接

人材紹介を利用する場合でも、企業は、書類選考後、通常の選考を進めることが一般的です。
ただし、面接の日程調整や合否通知などはエージェントが代行するため、企業は実際の面接、評価をする以外にすることはあまりありません。

面接の内容、やり方は企業ごとに異なりますが、通常、複数の回数が設定され、最終決定権者による面接が最終面接となることが多いです。面接に際しては、エージェントが候補者に対して、面接対策や事前準備の支援も行っているため、面接そのものも比較的スムーズに進むことも多いです。

また、企業は、面接の後にエージェントを通じて、面接の状況、理解、今後の入社意欲など候補者からのフィードバックを受けることもできます。

採用条件の確認・内定

面接を経て、企業として納得のいく候補者が出れば、内定を出します。その内定者への採用条件の提示についてもエージェントが代行するケースが多いです。内定後に条件通知のための面談を設定する企業もあります。エージェントは、内定者が入社する上での課題や問題があれば、その内容についてもヒアリングを行います。

内定者が入社を決定するまでは双方が納得できるまでやり取りすることが必要になりますので、引き続き、エージェントを通じてのやりとりは重要になります。

入社

内定後、入社を決定すると、雇用契約書の締結や入社日調整といった手続きについては、エージェントを通じて行うのが一般的です。入社予定者に対して、エージェントは入社するまで、何かあれば相談、確認などサポートします。

紹介手数料の支払い

人材紹介会社から請求書が発行されたら、企業は人材紹介会社へ紹介手数料の支払いを行います。その請求書は一般的に内定者の入社日を起点として発行されます。

ただし、サーチ型など一部のサービスでは採用プロセスが進むごとに支払いが発生する場合もあります。

人材紹介を利用する時の注意点

人材紹介を活用する際に気をつけたいことは、次の4点になります。
それぞれについて、解説していきます。

  • 自社で採用活動を行うより高額になる可能性がある
  • 採用活動の情報が共有されないと採用ノウハウは蓄積されづらい
  • 大規模採用には向いていない
  • 採用した人が退職になった場合に手数料が返金になる場合がある

自社で採用活動を行うより高額になる可能性がある

人材紹介を活用すると、採用関連の業務の多くを人材紹介会社が代行するため、企業の採用担当者の労力が軽減され、採用までの期間も短くなります。

一方で、入社する人材の年収の30%~35%の紹介手数料が一人一人にかかってくるため、採用人数が多くなると1人当たりの採用コストが、求人広告をベースにした自社採用より高くなりやすい傾向にあります。

採用にかかる費用対効果のバランスを考慮して活用する必要があります。

採用活動の情報が共有されないと採用ノウハウは蓄積されづらい

人材紹介では、人材紹介会社が採用関連業務を代行してくれるため、自社で採用業務を行うよりも求職者との直接の関わりが少なくなり、直近の求職者の動向や、採用の成功要因や失敗要因など、直接の経験で得られる採用のノウハウが蓄積しにくくなります。

人材紹介会社に任せきりにするのではなく、人材紹介会社と積極的にコミュニケーションをとり、採用活動で得た知見をフィードバックしてもらうことをおすすめします。

大規模採用には向いていない

人材紹介は、企業の採用要件に合う人材をデータベースから丁寧に選定するため、マッチングの精度が高くなってきますが、その一方で、多くの人数をまとめて採用するには不向きです。特にスキル、業種、エリア、カルチャーに合うのか、など要件を複数掛け合わせて求めると、マッチする人材の数は少なくなってきます。

要件の優先順位づけをして、採用したい人数を考慮し、どのように対応するのがいいのか、人材紹介に限らず、採用方法を検討する必要があります。

採用した人が退職になった場合に手数料が返金になる場合がある

人材紹介会社が紹介した社員を採用したが、入社後に自己都合で退職した場合、紹介手数料が返金となる場合もあります。ただし、全額返金されるとは限らず、入社後何ヶ月以内なら手数料の何割など、締結した基本契約書に定める条件に従って返金が行われることになります。

人材紹介会社と基本契約を締結する際に、返金規定についてきちんと確認して理解しておくとともに、採用者の退職リスク、手数料コストが無駄になるリスクがあることを認識しておく必要があります。

人材紹介会社の選び方

人材紹介会社には、登録型やサーチ型、業界特化型など、さまざまなバリエーションがあり、その特徴、得意分野もそれぞれです。採用担当者はどのように人材紹介会社を選べばよいのでしょうか。次のような点が参考になると思われます。それぞれ確認していきましょう。

  • 登録者情報や紹介実績
  • 専門性や業界への理解度
  • 分業型か統一型か
  • マッチングの精度

登録者情報や紹介実績

人材紹介会社を選ぶ際には、その会社のデータベースに登録されている人材の情報や紹介実績が重要です。単に登録人材の数が多いというだけでなく、企業が求める人材、採用要件に合った人材が多く含まれていそうかどうかです。年代や職種、経歴など一般的な情報からより細かい、求める人物像に関わる観点でも確認してみましょう。

またその人材紹介会社でどのような紹介実績があるのかを確認することは、アクティブな登録人材の把握という観点でも大変有益な情報ですし、その会社の紹介できる強みとも理解できます。紹介実績について、業種、会社規模、職種、採用された人についてなど、事例を確認し、自社の採用要件に近い事例は参考にしましょう。

専門性や業界への理解度

人材紹介会社には総合型と業界特化型とありますが、業界特化型であれば、その業界特有の慣習などにも精通して業界の理解度も高く、その業界に関連した登録人材を多く抱え、採用活動は比較的スムーズに進められます。

一方で総合型の人材紹介会社でも特化型サービスを提供している場合もあり、さまざまな観点と合わせて、検討する必要があります。

また人材紹介会社そのものだけでなく、その会社の担当者、エージェント自身に業界理解があるかが重要です。その業界の担当歴が長いことや、エージェント自身の経歴でその業界勤務経験があることや、元SE、元営業、元研究職など、職種経験があるようであれば、採用活動に大きな手助けになります。

分業型か統一型か

人材紹介会社には、分業型として企業に対してコンサルティングを行うエージェントと、候補者に対してコンサルティングを行うキャリアコンサルタントに分かれて支援する会社もあります。分業型にすることでそれぞれのニーズに深く寄り添った提案ができる反面、エージェントとキャリアコンサルタントとの間でコミュニケーションギャップが起きる場合もあります。

一方、統一型では、企業、候補者の対応を一人のエージェントが行います。双方から直接ニーズや情報をヒアリングするため、求人側と求職側の認識の齟齬も生じにくいというメリットがあります。

マッチングの精度

人材紹介会社を選ぶ上でマッチングの精度も重要なポイントです。企業の採用要件に対して、いかにマッチした候補者を紹介して、マッチングの精度を高めるのか、具体的にどのような取り組みを行っているか確認しておきましょう。

例えば、企業の採用要件や募集職種、ポジションの業務内容やそれに対する求められる人物像をどのように理解するのか、一方で候補者をどのように選定するのか、その候補者とは面談でどのようなことを確認するのか、などは参考になります。

まとめ

人材紹介は、求人企業と求職者をマッチングさせるサービスで、両者を仲介する中で、企業の求人内容、採用要件に沿った求職者を人選し提案してくれます。また人材紹介会社は求職者の人選、提案だけではなく、求職者との選考、面談の日程調整や合否の連絡、条件交渉まで行います。そのため、企業の採用担当者の業務負担軽減、採用活動の効率化が期待できます。

また人材紹介は、自社での採用が難しい専門職や経営層、マネジメント人材の採用に適しているという側面もあります。実務層やミドル層の人材を採用したい場合は「登録型」、ミドル層以上や経営層を採用したい場合は「サーチ型」を活用するなど、自社の求める人材に合わせて使い分けるとよいでしょう。

人材紹介は、自社で採用を行うよりも、求める人材に出会いやすいと言われます。より効果的な採用活動を進めるためにも、その特性を生かした人材紹介サービスの活用も検討いただきたいと思います。

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