不正競争防止法違反の警告書が届いた

・ 知的財産権侵害の警告書が届いた場合 ・ 不正競争防止法違反の警告書が届いた場合

不正競争防止法違反の警告書が届いた場合

「不正競争防止法違反である!との内容証明郵便が届いた。」
「前の会社の顧客名簿を持ち出したのが発覚してしまったようだ。」
「会社の技術情報を持ち出したと疑われている。」
「前の会社が自社のノウハウを持ち出したと難癖をつけてくる。」

顧客名簿や技術情報などの営業秘密やノウハウについても、特許権、実用新案権、意匠権、商標権や著作権と並んで知的財産権として保護されております。
不正競争防止法という法律です。

有名な商品と似た名称で商品を販売する行為、著名なブランド名を自社の商品につける行為、コピー商品の販売をする行為、コピーガード商品のコピーを解除する装置の販売等、著名な企業のドメイン名をサイトのドメインに組み込む行為、原産地を偽った商品を販売する行為、競合他社が特許権利侵害をしていると取引先に通告する行為、代理人が正当な理由なく本人の商標を利用して取引する行為などが挙げられます。

ここでは顧客名簿や技術情報などの「営業秘密」を持ち出したと疑われているケースを解説します。

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なぜ不正競争防止法違反=営業秘密を持ち出したと発覚したのか?

単に前の会社や前の会社の社長と折り合いが悪かったため、あなたが新規企業を立ち上げたことを根に持ち「嫌がらせ」を受けているだけなのではないでしょうか。また、前の会社の業績が悪化しており、前の会社の社長はそれをあなたの責任だと「逆恨み」しているのではないでしょうか。

また、もし仮にあなたが顧客名簿や技術情報を持ち出したとしても、それらは形のない情報です。なぜあなたが持ち出したと分かったのでしょうか。あなた以外にもその顧客名簿や技術情報にアクセスできた人は多くいるのではないですか。その顧客名簿や技術情報はそれほど特殊で価値の高いものなのでしょうか。すなわち、「営業秘密」に該当しない可能性も高いのではないでしょうか。不正競争防止法の「営業秘密」の要件を満たすように厳重に「営業秘密」を管理している会社は多くはありません。

また、そもそも、顧客名簿や技術情報を持ち出したとしても、よほどのことがない限りその痕跡は残りませんが、前の会社は何か証拠を握っているのですか?何も証拠がないのであれば、裁判でその旨立証することができず、裁判をしても勝ちようがありません。

直ちに安心してよいわけではありませんが、「営業秘密」の侵害については非常に立証が困難ですので、恐れることなく堂々と対応しましょう。

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営業秘密として管理(秘密管理性)されていたもののみが営業秘密

また、「営業秘密」として保護されるかどうかについては不正競争防止法に要件があります。顧客名簿や技術情報であれば、なんでも「営業秘密」に該当し責任を問われなければならないというわけではありません。

まず、「営業秘密」といえるためには、秘密として管理されていること(秘密管理性といいます)が必要です。

つまり、誰でも見られる情報は、いくら前の会社が「営業秘密」であると主張したとしても不正競争防止法で保護されないのです。

果たしてあなたが前の会社から難癖をつけられているものは、秘密として管理されていた秘密管理性を有する貴重な「営業秘密」だったのでしょうか。「営業秘密」の要件など満たしていない単なる情報にすぎないのではないでしょうか。

また、多くの従業員が見ることのできた情報ではないでしょうか。あるいは、厳重なパスワード管理などなされていなかったのではないでしょうか。保管されているキャビネットのカギがどこにあるかは誰でも知っていたのではないでしょうか。

そうであれば心配をする必要はありません。

有用な営業上または技術上の情報である(有用性)もののみが営業秘密

その次に、「営業秘密」として不正競争防止法により保護されるためには、有用な営業上または技術上の情報であること(有用性といいます)が必要です。

つまり、技術上役立つものではない情報でなければ、いくら前の会社が「営業秘密」であると主張したとしても保護されないのです。

果たしてあなたが前の会社から難癖をつけられているものは、有用な営業上または技術上の情報であり有用性を有する貴重な情報なのでしょうか。「営業秘密」の要件など満たしていない単なる情報にすぎないのではないでしょうか。

その技術情報が無くても他の方法で同じものが製造できたのではないでしょうか。その技術情報はコアの技術ではなくほんの周辺技術にすぎないのではないでしょうか。

そうであれば心配をする必要は高くはありません。

公然と知られていない(非公知性)もののみが営業秘密

最後に、「営業秘密」として不正競争防止法により保護されるためには、公然と知られていないこと(非公知性といいます)が必要です。

つまり、誰でも知ることができる情報のどれかに当たることになれば、いくら会社が「営業秘密」であると主張したとしても保護されないのです。

果たしてあなたが前の会社から難癖をつけられているものは、誰でも知ることができる情報であり、貴重な情報ではないのではなのでしょうか。「営業秘密」の要件など満たしていない単なる情報にすぎないのではないでしょうか。

前の会社はその情報を貴重だと考えていたとしても、インターネットを駆使すれば収集可能な情報ではないでしょうか。国立国会図書館で綿密に調査すれば分かるのではないでしょうか、他の競業他社なら知っているような情報ではないでしょうか。大学の教授が以前論文発表したような話ではないでしょうか。中国の奥地に直接赴けば、または中国人を何人かたどれば直ぐに製造業者が分かるような製造業者なのではないでしょうか。

そうであれば心配をする必要はありません。

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不正競争防止法違反=営業秘密侵害には慎重な対応が必要!!

前の会社が、「営業秘密」が侵害されていると主張する場合、まずは警告書や通知書を送り、相手方に対して、即時に「営業秘密」の侵害を停止し、損害賠償を請求することになりますが、訴訟などの法的手続きが提起されることもあります。

訴訟などの法的手続きが提起されると負担ですので、相手方の警告書や通知書に対する対応は慎重にする必要があります。

しかし、訴訟などの法的手続きを心配するあまり慎重すぎる対応をとることは行き過ぎな場合が多いです。

「営業秘密」の侵害については非常に立証が困難ですし、そもそも「営業秘密」の上記の3つの要件(秘密管理性、有用性、非公知性)が充足されるようなしっかりとした管理が行われていることも多くありません。

またそもそも、あなたが顧客情報や技術情報を持ち出したとして、前の会社はどれだけの「損害」を被ったのでしょうか。そもそも「損害」が発生していなければ損害賠償請求など成立しません。

不正競争防止法には損害推定規定がありますので安心はできませんが、前の会社に「損害」など生ずるわけはないことを説明してあげましょう。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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