- 外国社員は、入管法や入国管理局の関係でどのように管理すればよいのか。
- 外国人社員は入管法の改正で、受け入れできる年数が大きく変わった。
- 外国人社員の特定技能1号と特定技能2号で、2号はまだ業種すべてが決定していない
- 外国人社員の特定技能と技能実習制度で大きく異なる点は受け入れスキームにある
- 外国人社員のお管理体制強化の前に企業がやっておくべきこと
- 外国人社員を職場に受け入れる前には必ず社員にアナウンスを行う
- 外国人社員を採用する前に必ず作成しよう!入社経路と在籍年表。
- 外国人社員の技能実習生は現場異動させることが難しいが管理はしやすい
- 外国人社員の特定技能1号を受け入れる場合は、必ず所属先のチェックを行う
- 外国人社員の特定技能1号を受け入れる場合は、賃金は日本人に合わせる必要性がある
- 外国人社員の外国人実習生を管理する上で最も大切なことは、いつでも状況説明をできる状態にしておくこと
- 外国人社員を管理するというよりも、相互信頼である程度カバーすることができる
外国社員は、入管法や入国管理局の関係でどのように管理すればよいのか。
「うちも外国人技能実習生を雇用することになったけど、どうやって管理していったらいいんだろう」
「外国人従業員といっても、うちに来ているのは技能実習生じゃなくて、現地の大卒で事務をやってもらう予定なんだけれど。これはどの区分になるの?」
「受け入れをしたときは5年が最長だって言われていたのに、新しく来た外国人受け入れ団体が言うのはさらに5年延長できるようになったらしい。管理できなくなってきた」
入管法改正や入国管理局の関係で、外国人を雇ったのはいいけれど、いろいろと法律が改正されて管理が難しくなってきています。
しっかりと管理するためには、自分の職場にいる外国人技能実習生や外国人労働者が何年まで会社にいられるのかを整理しておく必要があります。
在籍期間さえしっかりと把握して、最悪の辞退に備えておけば、管理することそのものは難しいことではありません。
この文章を読めば、外国人従業員を適切に管理して、不安なく労務管理を推進することができます。
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外国人社員は入管法の改正で、受け入れできる年数が大きく変わった。
2019年4月に入管法が改正されて、労働力不足に悩む企業の中でも特定の14業種は、受け入れ年限が伸びることになりました。
それ以前は外国人従業員で、技能実習生を受け入れている企業は、5年間までしか外国人技能実習生を受け入れることができませんでした。
入管法改正以降は、技能実習生は5年を超えて日本で仕事をできるようになりました。
特定技能1号という新しい制度が出来たためです。
但し、特定の14業種のみで就業可能なので、その業種に当てはまっていない場合は会社を移ることになります。
特定14業種は、建設・造船・自動車整備・電子関連機器・航空業・産業機械製造・素形材産業・ビルクリーニング・宿泊業・農業・介護・外食産業・飲食料品製造・漁業です。
仮に印刷会社で外国人労働者を受け入れて5年が経過すれば、他の子会社などで業務に特定14業種に移行させられない場合は5年までしか受け入れできないということですね。
政府としては農業や介護といった人手不足が激しい産業へ出来るだけ外国人技能実習生を送り込みたいという部分もあるため、業種によって差が出てきます。
外国人社員の特定技能1号と特定技能2号で、2号はまだ業種すべてが決定していない
特定技能1号は14業種に就業する外国人技能実習生であれば5年を超えて業務に従事できる制度ですが、2号はまだ業種すべてが決定されていません。
現段階では建設業と造船に従事する外国人については2号に移行して、就労を続けることができる可能性があるということになっています。
つまり、外国人技能実習生を受け入れることができるのは最長10年間ということです。
最初の技能実習生としての受け入れ可能期間5年プラスで、あとの特定技能1号に認められれば5年の延長が認められます。
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外国人社員の特定技能と技能実習制度で大きく異なる点は受け入れスキームにある
外国人が、技能実習制度で日本で働く場合は、受け入れできる外国人の出身国に制限があることと、外国人受け入れ団体を経由しないといけないわずらわしさがありました。
技能実習制度で外国人を雇用しようとした場合、外国人の送り出し機関、技能実習生を扱う財団法人など様々な団体の関与が必要なうえに、費用も高いという状態でした。
特定技能であれば、間に入る団体がないため、非常に受け入れがスムーズです。
これまでのように管理団体などにいちいちお伺いを立てなくても、雇用したいと思えば条件さえ満たせば採用活動をすることができます。
スキームが複雑化しない一方で、管理はすべて企業が責任を負う
技能実習生を受け入れるためには外国人技能実習生をあっせんしている団体に手数料などを支払う必要性がありましたが、代わりに様々な形でサポートがありました。
- 雇用契約書の現地の言葉での作成と契約締結を代行
- 団体職員が月に1回の外国人技能実習生へのフォロー面談などの実施
- 職場巡視のたびに、労働基準法について厳しくチェック(事前に指摘してもらえるため大事にならない、または受け入れ時に注意してもらえる)
- 外国人が入社するまで日本語の勉強などを各機関がサポート
- 通訳の派遣などのサポート
他にも細かいことをたくさん代行してもらえていましたが、特定技能の場合はこれらのサポートなしにいきなり外国人を受け入れることになります。
管理体制を強化しないと、技能実習生を受け入れていた時よりも雑務が増えるといえます。
外国人社員のお管理体制強化の前に企業がやっておくべきこと
労働基準法違反などで、労働基準監督署に踏み込まれないために、事前にしっかりと社内の規定の見直しや、協定書の準備などを進める必要性があります。
- 賃金控除の協定書の締結
- 外国人労働者で、技能1号を採用する場合には、同一労働同一賃金違反とならないように、任せる仕事内容などをしっかりと整備する。
特に抜けもれがちなもので、賃金控除の協定書がなかったというケースがあります。
賃金控除の協定書は労働基準監督署に届け出る必要性がないものなので、うっかり作成を忘れてしまうことになりがちなので注意が必要です。
具体的には、外国人を受け入れる段階で、外国人の給料から昼食代として弁当代金などを引き落とすには賃金控除の協定書が必要になります。
家賃や光熱費なども、給与から控除するものについては事前に必ず賃金控除の協定書を結ぶようにしましょう。
うっかり忘れていて、いざ労働基準監督署に指摘されてからでは遅いです。
給与支給の際の、お金の面でうっかりミスがないか必ず確認するようにしてください。
受け入れ前に会社内の体制を見直して、コンプライアンスをしっかりと整備するようにしましょう。
外国人社員を職場に受け入れる前には必ず社員にアナウンスを行う
外国人を職場に受け入れる前に、必ず会社から社員にアナウンスを行うようにしましょう。
いきなり外国人が職場に来ると入社直前に言われてもびっくりして心の準備が出来ていないという従業員が大半です。
いつからどの部署に外国人が入社するかなどの情報を現場に流しておき、受け入れがスムーズにいくようにしておきましょう。
外国人社員を採用する前に必ず作成しよう!入社経路と在籍年表。
「外国人実習生を団体から受け入れた年はいつだったかな?提出期限が分からない」と外国人労働者を受け入れても入社年次が分からないと混乱します。
外国人労働者を技能実習から特定技能に移行して在籍を伸ばす場合など、入社時の書類は大切なものなので、必ず外国人労働者の入社した年に提出した書類は残すようにしておいてください。
また、必ずエクセルなど簡易なものでも良いので、何年の何月に、どこから採用したのかを記載しておくようにしましょう。
一度採用したあとは各現場に配属になってしまいますので、入社した年月日が分からなくなると、現状把握は難しくなっていきます。
- どこの団体から何人採用した
- ○○くんは2018年1月入社
といった情報があるだけで、管理する手間が省けます。
外国人社員の技能実習生は現場異動させることが難しいが管理はしやすい
技能実習生を仮に雇用したとしても、受け入れ当初の計画と全く違う仕事をさせることはできません。
仮に同じ工場内であったとしても、技能実習制度は事前に管理団体に提出した実習計画通りに同じ職種に従事させないとダメな制度となっているためです。
このため、異動などで職場が変わることが滅多にないので、部署異動などの管理がしやすかったといえます。
しかし、特定技能の場合は、部署異動も可能なため、しっかりと管理する資料が必要となってきます。労災などが発生したときにどの職場に外国人がいたのかも把握できていないとなると、非常にまずいことになります。
外国人社員の特定技能1号を受け入れる場合は、必ず所属先のチェックを行う
特定技能1号で外国人労働者を受け入れる場合には、必ず異動先のチェックを毎月行うことが必要です。
異動があればその都度、現場の所属長から異動先について報告してもらうという形式であれば管理しやすいといえます。
特定技能1号は仕事内容の変更が可能で、職場異動があり得るため、しっかりと確認するようにしましょう。
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外国人社員の特定技能1号を受け入れる場合は、賃金は日本人に合わせる必要性がある
技能実習生の場合は、最低賃金法を守っていれば賃金は問題ありませんでした。
しかし、特定技能1号は転職をすることも可能な就労ビザを持った外国人を雇用することになります。
賃金などの待遇については、日本人と同水準にする必要性があります。
仮に自分の会社の現場作業員が時給1,000円で働いていたら同じ水準で処遇する必要性があります。
特定技能1号は、待遇に不満が出れば転職することも可能なため、しっかりと待遇面などについても管理改善していくことが求められます。
外国人社員の外国人実習生を管理する上で最も大切なことは、いつでも状況説明をできる状態にしておくこと
外国人労働者を管理する上で最も大切なことは、いつでも外国人が自社の社員であることを対外的に説明できる状態にしておくことです。
よくあるケースが、自社の外国人労働者が会社の休日に就労ビザなどを持たずに繁華街に遊びに出て、職務質問を警察官などから受けてしまい拘束されるケースです。
外国人が騒いでいるということで通報されてしまい、そのときに就労ビザのように身分を証明するものを持っていないと不法滞在の疑いで警察署に拘束されてしまいます。
その場合、会社に外国人労働者を拘束した警察署から呼び出しの電話がかかってくることになります。頻繁に起こる問題なのですが、就労ビザをしっかり本人が持つという認識を持っていないと何度も繰り返します。
例えば、所属する企業の本社が、東京本社で、外国人労働者が拘束された場所が新宿であればまだマシですが、地方に本社があって、東京の繁華街などでトラブルを起こされてしまうと非常に面倒です。
拘束されている警察署まで移動するだけでも大変です。書類をしっかりと管理して、就労ビザなどを会社で預かるか本人に責任をもっていつでも出せる状態にしておかないと休日に仕事をする羽目になります。
原則、本人が保管することが望ましいですが、就労ビザや許可証を会社で預かっておくか、それとも休日の前日に本人に渡すような体制を作るかなど、外国人労働者本人との間でしっかりと話し合いの場を作っておくことが大切です。
特に休日に本人に就労ビザを持たせるというのは、休日に拘束されるケースが圧倒的に多く、会社に誰もいないため月曜日に出勤して初めて警察に拘束されていたということがわかることがあるためです。
トラブルを避けるためにも、就労ビザなどの本人の身分証明書に関しては必ず持たせるようにしましょう。
平日であれば、社員が対応できますが、土日にこの手のトラブルを起こされると対応が後手後手になって、日常業務を圧迫してきます。
月曜日になって外国人労働者が無断欠勤で、会社にも来ていない、となると失踪を疑いますが、警察署に拘束されていることも多々あります。
外国人社員を管理するというよりも、相互信頼である程度カバーすることができる
外国人労働者を雇用するにあたっては、入管法や入国管理局との関係もあり、細かな取り決めが必要です。
しかし、それ以上に、外国人労働者との信頼関係が不可欠です。
書類の保管や、不法滞在問題など様々な問題がありますが、大切なことは外国人労働者と会社での間での信頼関係をしっかりと築いておくことです。
労働トラブルなどに発展するのは、日本人を雇用している場合と同じく、お互いの信頼関係が崩壊したときに起こることが多いです。
書類などは厳密に管理する一方で、仕事上はラフになんでも話せる、相談できる関係を構築できるように努力しておけば、それほど大きな問題に発展しません。
もしも労働トラブルなどに発展してしまった場合には、総務人事などだけで対応するのではなく、外部から顧問弁護士を契約しておくなど、事前に準備できる防衛策を練っておくようにしましょう。
外国人労働者を雇用して、お互いに良い関係を築けるように努力しつつも、最悪の辞退になった場合に備えるようにしておきましょう。