- 外国人の問題社員を解雇したい
- 優秀だと思って採用したけれど、なかなか難しい外国人社員
- 外国人を解雇する場合も、日本人を解雇する場合も、基本的には同じ難しさがある
- 外国人社員解雇が不当解雇にならないケースとは?
- 外国人社員の能力不足による解雇は日本人と同様に外国人にも適用しにくい
- 外国人社員解雇が難しい場合、退職金などを積んで、自主的に退職させるのも現実的な手段
- 何度も就業規則違反として軽い罰則を積み重ねる外国人社員を解雇する
- 外国人社員解雇には実績の積み重ねが大切
- 外国人社員解雇と思わせない解雇の方法もある
- 外国人社員に退職金すらも渡したくないし、できれば解雇したいという場合
- どうしても外国人社員解雇が必要な場合は、法律のプロである弁護士に依頼しよう
外国人の問題社員を解雇したい
「採用した外国人が問題を起こした。これ以上はもう我慢ならない」
「これまでは外国人社員だから仕方がないと割り切っていたけれど、遅刻や欠勤が多すぎる。会社全体の統率が取れなくなる」
「上司の言うことを聞かない割には、成果を出すわけでもないし、困ったものだ」
外国人社員特有の問題で苦しんでいる経営者や管理職は非常に多いです。
特に命令違反などをする社員も多いですし、外国人留学生の場合はそもそも仕事場だけではなくプライベートでも問題を起こすなど、ストレスフルな現実があります。
この文章を読めば、外国人問題社員を解雇する方法が分かります。
思うようにはいかない外国人雇用の現実外国人雇用で、優秀な人材を現地からスカウトしてきたものの、何年たっても戦力化しなかったり、会社に馴染めずにトラブルを起こされてしまい、日本人を雇っていたほうがマシだったと嘆く経営者の方は少なくありません。
特に外国人技能実習生なども、実は質が下がって生きています。
日本がいま現在は、中国に経済的に負けている状態なこともあり、ベトナム人技能実習生が一番行きたい国は日本ではなく中国と韓国となっています。
つまり、日本に来ている技能実習生でやる気のある子たちはいま、中国や韓国に取られてしまっていっているということです。
この状態で外国人技能実習生を入れてもまず、優秀な人材は来てくれないのも無理はありません。
経営者が外国人社員や外国人技能実習生に頭を悩ませるのは、ある意味では当たり前と言える状態ではないでしょうか。
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優秀だと思って採用したけれど、なかなか難しい外国人社員
外国人問題社員の特徴としては、以下のようなものがあります。
- 仕事上でのアピールは得意だが、地味な手を動かす仕事はしようとしない
- 残業を極端に嫌がる
- 休みをとる頻度が高く、戦力にならない
- 遅刻や欠勤を繰り返しても悪びれない
基本的に日本人の社員は真面目な社員が多いので、就業時間には会社に来て仕事の準備を終えた状態で仕事をスタートしますが、一部の外国人社員はギリギリにきて仕事をスタートさせます。
また、日本人社員が仕事が残っていてもなんとかやりとげてから休みを取るのに対して、外国人社員は仕事が残っていてもプライベートを最優先して帰る傾向にあります。
文化の違いといえば違いなのですが、この状態で日本人より仕事が出来ないとなれば、かなり厳しいものがあります。
派手にアピールできる仕事に対しては一生懸命に取り組みますが、地道に手を動かす仕事は実はあまりしていなかったりと、かなりレベルの低い社員もいます。
知らず知らずのうちに周囲と摩擦を生んでいるケースも少なくありません。
外国人を解雇する場合も、日本人を解雇する場合も、基本的には同じ難しさがある
日本では労働基準法第16条で厳しく解雇規制が敷かれています。
従業員を解雇する場合には、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は解雇は無効となります。
日本人であろうと、外国人であろうとこの法律は適用されるので、解雇はかなり難しいです。
社員がまだ就労したいという意思があるのにも関わらず会社を辞めさせるのは、本当に難しいです。
例外として試用期間として14日以内であれば解雇をすることが可能ですが、これも客観的に合理的な理由が必要となってきます。
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外国人社員解雇が不当解雇にならないケースとは?
不当解雇にならないケースとして、以下のケースがあります。
- 会社が経営危機に陥り、リストラしないと倒産するケース
- 犯罪など、重大な問題を引き起こしたケース
- 勤務態度が社会通念と照らし合わせても極めて悪いケース
会社が社員をリストラしないと倒産してしまう可能性があるほど追い詰められている場合、社員が犯罪など、社会的に許されない犯罪を犯した場合、勤務態度があまりにも悪くて勤務させることがあまりにも難しい場合など、限られたケースでのみ不当解雇とはなりません。
外国人社員の能力不足による解雇は日本人と同様に外国人にも適用しにくい
外国人問題社員を解雇したいと考えている場合、現実的には解雇可能な要件に当てはまらず、以下の要件で解雇したいと考えているケースがほとんどです。
- 能力不足または周囲の社員と協力しようとしない
- 上司の命令を聞かない服務規程違反
- 遅刻や欠勤を繰り返すなどの勤怠に問題があるケース。解雇は可能かも知れないが、頻度的には解雇要件までいかない
こうした会社にとっては組織秩序を乱されているけれど、解雇できるか微妙なラインにいるのが外国人問題社員の特徴です。
特に外国人社員の特徴としてはしっかりと納得のいくまで説明しないと仕事をしないというケースもあり、スピード感を重視される職場では孤立してしまうという外国人の方も珍しくありません。
日本人の場合は特に周囲と協調性をもって仕事を達成していくというスタンスが多く、自分の仕事だけを終えて帰るというスタンスのある外国人の方は馴染みにくいといった現状もあります。
外国人社員解雇が難しい場合、退職金などを積んで、自主的に退職させるのも現実的な手段
解雇をすると外国人社員が問題だと騒ぎ立てそうな場合には、退職金などを積んで自主的に退職してもらうという手段も合理的な方法です。
退職金と引き換えに本人から退職願を受けとるなど、大企業式の退職勧奨の手段です。
会社の名誉を守るために現金を積んで退職を本人が自主的に選んだという形をとるのが退職にあたっては最も平穏ですし、退職理由としても自己都合退職にもっていきやすいといえます。
また、本人も再び日本で仕事を探そうと考えたときに解雇されたと離職理由に書くよりも、自己都合退職扱いになるため、深刻な状態にはなりません。
本人を納得させるだけの現金を積まないといけないため、非常にお金がかかってしまうという難点がありますが、会社の名誉に傷を入れずに実質解雇状態に持っていくことが出来るので、有効であるといえます。
何度も就業規則違反として軽い罰則を積み重ねる外国人社員を解雇する
上司の命令を聞かない服務規程違反や、遅刻を繰り返す無断欠勤など、明らかに就業規則に従う気がないというケースの場合には、何度も軽い罰則を積み重ねることで、解雇にもっていくことが可能です。
いきなり解雇するのではなく、段階を踏んでいくことが大切です。
会社が示したルールや、就業規則を守れない場合には、特に重要なことですが、いきなり解雇をするのは絶対にトラブルを招きます。
少しずつ、あなたのしていることは就業規則違反で、就業規則のどこに違反しているから、こうして罰を与えていくという風に説明していってください。
いきなり解雇の話をすると、相手の感情を逆なでしてトラブルに発展します。
譴責などを段階的に辞令にして交付していき、何度も悪質な就業規則違反をしているから解雇するという風に持っていくことです。
いきなり解雇するといえば相手はショックを受けますが、何度も懲罰を与えられていればいずれクビになるかも知れないという意識が相手に芽生えます。
いきなり解雇するのではなくステップを踏むようにしてください。
外国人社員解雇には実績の積み重ねが大切
解雇するためには、証拠をしっかりと集めておく必要があります。
法律的な問題ももちろんありますが、会社としての譲れない基準というものもあります。
会社として、この部分だけは守ってもらわないといけないというルールについては就業規則に明文化されており、ほとんどの会社ではしっかりと機能しているはずです。
そのルールを外国人問題社員がいかに破っているかをしっかりと記録にして残すようにしてください。
人事部の社員がいない場合などは、外国人の上司に報告書を書かせても問題ありません。
明確に就業規則や会社として守るべきルールのどこに違反しているのかを明文化して記録に残していきます。
仮に周囲と協調性がないのであれば、それによってどのような損害が会社に起こってしまっているのか。
その損害は他の社員の仕事ぶりと比べてどこか著しくひどいのかなどを書き留めるようにしてください。
証拠が集まったら、いよいよ解雇を通告する段階に入っていきます。
外国人社員解雇と思わせない解雇の方法もある
非常に大切なことですが、解雇される本人が「解雇された」と思わせない方法があります。
具体的にはいくつかの提案を相手に行うことで、本人が自分で選んだと思わせるというやり方です。
具体例をあげます。
- 退職金200万円をうけとって、退職する
- 有給休暇を与えて、その間に転職活動を行う。転職活動が終了したら有給は終わりで、退職金を100万円支給する
という風に、選択肢を与えるやり方です。
ほとんどの外国人が退職金を受け取って退職しますが、大きなトラブルには発展しません。
仮にこれをいきなり解雇するという風に持っていくと、大きな摩擦になります。
本人が選んだという風に持っていくことで、自己選択したのだという意識があるため、後腐れなく退職することができます。
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外国人社員に退職金すらも渡したくないし、できれば解雇したいという場合
退職金すらも払う余裕はないし、出来れば解雇したいという場合には、解雇予告の準備に入ります。
入社から14日以内の場合は、解雇予告手当が必要ありません。
14日をオーバーしている場合には、解雇予告手当として30日分を支払う必要性があります。
また、客観的で合理的な理由の説明が必要になってきます。
本人が解雇理由に納得していない場合には、外国人相手でももめ事になることになります。
もめ事にならないためにも、出来るだけ証拠を積んでいくことにしましょう。
解雇理由の説明中に異議申し立てをしてくる外国人が大半のためです。
いつどこで行った行為に対して譴責処分があった、減給処分になった、次に同じことを繰り返せば解雇するとも通告していたという風に証拠がここで活きてきます。
但し、あくまでも本人を追い詰めるような口調で言うのではなく、何度も警告したのにあなたは聞き入れてくれなかったので残念に思っていると伝えるようにしてください。
話し方も重要で、喧嘩腰の口調ではなく、淡々と伝えるようにしてください。
外国人問題社員としても、解雇されてからの生活には困窮する可能性があります。
もしも、外国人受け入れ団体を経由して入社した外国人の場合には、外国人受け入れ団体にも解雇する旨を伝えて担当者を同席させるようにしてください。
海外現地から呼び寄せた外国人社員を解雇した場合は、入国管理局に連絡を入れる必要もあります。
どうしても外国人社員解雇が必要な場合は、法律のプロである弁護士に依頼しよう
最後の最後で外国人問題社員を解雇するという段階で、万全を期す場合には、出来れば弁護士を依頼するようにしましょう。
従業員何万人というような大企業でも、こうした解雇というデリケートな問題を扱う場合には、人事部と顧問弁護士が同席するのが普通です。
理由としては、人事部員は会社の人に関する権限は持っていますが、その後の処理を単独で行うことが難しいためです。
解雇があっさりと終わり、後腐れなく日常業務に戻れれば良いですが、もしもこじれた場合には人事部員だけでは対処できないためです。
仮に解雇の交渉が失敗に終わり、労働局からのあっせんや、簡易裁判である労働審判などに発展した場合、人事部員だけでは対処することができません。
解雇の経緯などは弁護士と経営者、人事部で共有して、実際の裁判の場では弁護士に代わりに話をしてもらうなど、タフな業務は弁護士に任せることになります。
いわゆる経営者側弁護士と呼ばれる弁護士に会社の訴訟問題を任せるということで、大企業でも解雇案件では弁護士に依頼しています。
もしも小さな会社を経営していて、顧問弁護士もいない状態で労働審判や訴訟に挑んでも、ほぼ100%相手の要求を呑むことになり、負けることになります。
経営者が本来仕事に避けるはずの労力が労働審判や訴訟では奪われることになるので、損害は会社が小さければ小さいほど大きくなります。
解雇に挑む場合には、労働法に強い弁護士を顧問につけるなどして、先を見据えて行動する必要性があります。
解雇に挑むときは、弁護士に依頼することを、念頭におくようにしてください。