M&Aと労働時間管理問題
M&Aの法務デューデリジェンスにおいては、「労働時間管理問題」についても検討をする必要があります。
従業員の労働時間管理は、主に、タイムカードで行われていることが多いですが、営業マンのように常に外出を伴う業務に従事している場合など、タイムカードでの労働時間管理は容易ではなく、日報などによる労働時間管理になることが多いですが、それで適切に労働時間管理ができているかは確認をする必要があります。
すなわち、例えば、営業マンの時間外手当については、「職務手当、営業日当(日報提出による)を時間外の対象として支給しています。」「計算、に関しては時間外勤務の時間計算での支給はしておらず、職務手当(固定)の支給運用となっております。」「全ての営業職員に固定(勤続年数、役職により異なる)の職務手当を支給しています。」「時間外手当は職務手当に織り込み済みの運用のため、別途時間外手当は発生させておりません。」などなど、適切な労働時間管理を放棄しているような会社も少なくありません。
このような場合、給与支給控除一覧表などを確認し、営業マンについて、どのような実態で給与が支給されているのか確認する必要があります。
また、例えば、会社によっては、職務手当(固定)及び営業日当(日報提出による)の支給については、「営業日当は日報(週報)の提出により、1日4時間超の社外営業活動をした者に対し、時間に応じた額ではなく、1日XXXX円を1日の単価として支給しています。」ということもあり、営業マンについては、時間外手当が支給されていない一方、職務手当(固定)及び営業日当(日報提出による)が支給されているが、職務手当(固定)及び営業日当(日報提出による)については、実労働時間に沿った支給となっておらず(また金額的にも少額であり)、ということも存在します。
このような場合、この会社においては、営業マンについて、賃金の未払いが存在し、潜在債務が存在するものと思われます。
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