労働保険については、事業主が、行政機関から労働保険関係の成立手続きを行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に手続きを行わない場合、労働保健料の認定が行われ、過去分については、遡って労働保険料が追徴され得る(労働保険の保険料の徴収等の手続きに関する法律19条5項、21条1項)。
労災保険については、事業主が、労災保険への成立手続を行っていない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合、最大2年間遡った労災保険料と追徴金が徴収されるほか、労働局職員あるいは労働基準監督署監督官からの勧奨・指導を受けていたにもかかわらず、労災保険に加入をしていない場合、事業主の故意による未加入と判断され、労災給付金額の全額が徴収され得ることになり、労働局職員あるいは労働基準監督署の監督官から勧奨・指導ないまま、労働保険の適用事業となってから(労働者を雇用してから)1年を経過している場合は、事業主の重大な過失と判断し、労災保険給付の40%が徴収され得ることになる。
雇用保険については、保険関係が成立しているにもかかわらず手続きを行わない事業主には、労働保険料の認定が行われ、過去に遡って労働保険料が徴収されるとともに追徴金が徴収され得る点(労働保険の保険料の徴収等に関する法律19条5項、21条1項)に、留意する必要がある。
厚生年金については、加入対象の労働者を厚生年金に適切に加入させていない場合には、厚生年金の保険料の未納については、最大で2年遡って保険料の追徴が行われ(厚生年金保険法92条)、また、未加入により本来受給できる厚生年金が減少したとして、労働者から損害補償請求がされ得る点につき留意が必要である。
医療保険(健康保険)については、医療保険(健康保険)料の未納は、過去2年分は追徴の対象となる点(健康保険法193条)に、留意する必要がある。
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