未払い賃金・未払い退職金問題について
M&Aにおいては、「対象会社の従業員に関して、支払期限が到来した未払賃金・退職金その他の報酬、又は社会保険料は存在しない。」ことについて、売主に表明保証をしてもらうことが多い。
労働関連法については、近時、労使紛争の中でも、未払賃金・退職金等に関する紛争が特に多くなっており、実際、事業承継M&Aに際しても、未払賃金・退職金等に関する紛争は頻発している。
また、近時、消費者金融業者に対する過払い金請求事案の減少により弁護士が従業員の未払残業代請求を主たる業務に据え事業運営を行っており、未払賃金・退職金等の請求の事案が急激に増加している。
事業承継M&Aの対象となる中小企業、零細企業においては、労働時間の管理が十分でない会社、未払賃金・退職金等がしっかり支払われていない会社が多く、就業規則の作成や三六協定の届出が行われていない会社もまだまだ存在する。
また、一見、労働時間の管理が十分であり、未払賃金・退職金等がしっかり支払われていると思われる会社であっても、労働関連法の解釈や、厚生労働省の指導を正確に理解していない結果、対象会社に未払賃金・退職金等が発生しているケースは非常に多く、これが対象会社の潜在債務となっている例が少なくない。
事業承継M&Aについては、対象会社のオーナーや経営陣が変更になるなど、対象会社の従業員にとっても一大イベントであり、事業承継M&Aに伴い対象会社に対する忠誠心が薄れたり、対象会社のオーナーや経営陣が変更になることにより、従業員の勤労意欲や仲間意識が減退するなどし、退職する従業員も多く、また、それが理由で、対象会社に対して、未払賃金・退職金等の請求を行う元従業員も急増することがあり得るし、実際に数多くそのような事態が発生している。
したがって、事業承継M&Aにおいては、株式譲渡契約書において、未払賃金・退職金等の不存在について、売主に表明保証してもらう必要がある。
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