従業員の承諾に基づく社会保険等への未加入の問題について
従業員によっては、社会保険料等の従業員負担分を支払わず手取り給与の額を最大化しようとして、あえて社会保険等に加入しないことがある。
すなわち、会社が事業主負担分を負担することを避けるため従業員を社会保険等に加入させない場合のみならず、従業員が本人負担分を負担することを避けるため、従業員から会社に要請して、社会保険等に加入しない場合があるのである。この傾向は、飲食業などパートタイマーが多い業界や製造業や外国人労働者が多い業界に多いように思われる。
すなわち、主婦などのパートタイマーはそもそも配偶者の社会保険等に加入しているため、あえて勤務先の社会保険等に加入して従業員負担分を負担することを嫌う傾向にあり、かつ外国人労働者もいつ帰国するか分からないと考え、帰国してしまえば、日本政府から最終的に年金などを得られることはなく実質的に掛け捨てとなってしまうことから、あえて社会保険等に加入したくないと考えることが多いように思われる。
事業主である対象会社としては、このような従業員の意向を踏まえ社会保険等に加入しないという扱いとすることもままあるようであるが、それは違法であるのみならず、もし実際に労災が発生したり、その者が傷病にかかるなどした場合、社会保険等が支給されない結果、その従業員が十分な稼働ができなくなるのみならず、社会保険料等の未払いが存在することが発覚し、年金事務所から、対象会社に対して、納付を求められたり、対象会社が、本来、その従業員に対して、社会保険等から支給されるはずであった保険金相当額を負担しなければいけなくなる可能性がある。
したがって、事業承継M&Aにおいては、株式譲渡契約書において、売主に社会保険料等の未払いが存在していないことを表明保証していただく必要がある。
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